名簿の氏名から、ふりがなを出したい。PHONETIC関数を使う。
=PHONETIC(A2)
自分で打った名前なら、ふりがなが出る。ところが、他のシステムから貼り付けた名簿では、空欄になる。
関数が壊れているわけではない。そもそも、ふりがなの情報が入っていないからだ。
この仕組みを知らないと、名簿の整備でかなり時間を溶かす。
この記事は育ちます。公開後も、会話パート・トーク・補足を足していきます。
公開 2026-10-20 / 最終更新 2026-10-20(公開)
水深 — ふりがなは、セルの中に別に入っている
Excelのセルには、表示されている文字とは別に、ふりがなの情報を持てる領域がある。
漢字を変換して入力すると、Excelはそのとき打ったかなを覚えている。「たなか」と打って「田中」に変換したら、「タナカ」という情報がセルの中に残る。
PHONETIC関数は、この記録された情報を読み出しているだけだ。
漢字を読んでいるのではない。入力の履歴を見ている。
だから、こうなる。
- Excelで直接入力した → ふりがながある → PHONETICが効く
- 他のソフトから貼り付けた → ふりがながない → 空欄
- CSVから読み込んだ → ふりがながない → 空欄
- 関数で作った文字列 → ふりがながない → 空欄
「貼り付けた名簿でPHONETICが効かない」のは、仕様どおりの動作になる。
ふりがなが間違っていることもある
逆のパターンもある。ふりがなは出るが、間違っている。
原因は同じで、打ったとおりに記録されているからだ。
- 「東」を「あずま」と打って変換した → ふりがなは「アズマ」
- 同じ「東」を「ひがし」と打った → ふりがなは「ヒガシ」
- 「田」を「た」と打ったあと「中」を「なか」と打った → 「タナカ」
- 一度に「たなか」と打った → 「タナカ」(同じ)
問題は、読みを知らずに打ったときだ。
「一色」という苗字を「いっしょく」と打って変換すると、ふりがなは「イッショク」になる。正しくは「いっしき」かもしれない。
画面には正しい漢字が出ているのに、隠れているふりがなだけ間違っている。 見ても気づけない。

ふりがなを確認する、直す
見る方法と直す方法。
表示する
ホームタブの「ふりがなの表示/非表示」(フォントグループの「亜」のようなアイコン)。漢字の上に小さくふりがなが出る。
直す
同じボタンの横の矢印 →「ふりがなの編集」。直接書き換えられる。
設定を変える
「ふりがなの設定」で、カタカナ/ひらがな/半角カタカナを選べる。既定はカタカナになっている。
名簿を作るときは、最初にふりがなを表示した状態で入力すると、間違いに気づける。あとから直すより速い。
ふりがながない名簿を、どうするか
本題。貼り付けた名簿にふりがなを付けたい場合。
① 別の列に、手で入力する
いちばん確実。人名の読みは、本人に確認する以外に正解を知る方法がない。
「東」「一色」「小鳥遊」のような苗字は、機械では判定できない。手で入れるしかない場面は残る。
② いったんExcelで打ち直す
貼り付けではなく、セルに手で打ち込む。変換の履歴が残るので、PHONETICが効くようになる。
件数が少なければ、これがいちばん早いこともある。
③ 元のシステムからふりがなを出してもらう
人事システムや会計システムには、たいていふりがなの項目がある。氏名と一緒に出力してもらえば、そもそも作る必要がない。
これがいちばん正しい解決だと思う。Excelで頑張る前に、元を確認する。
④ VBAやマクロで変換する
IMEの変換機能を呼び出す方法がある。ただし読みの正確さは保証されない。人名では特に当てにならない。
一括で下書きを作って、人が確認するという使い方なら有効だと思う。
名前を、姓と名に分ける
名簿の整備でもうひとつ多いのが、これ。
「田中 太郎」を「田中」と「太郎」に分けたい。
① 区切り位置を使う(スペースで区切られている場合)
データタブ →「区切り位置」→「スペースで区切られている」。一発で分かれる。
ただし、全角スペースと半角スペースが混ざっているとうまくいかない。先にSUBSTITUTEで揃える。
=SUBSTITUTE(A2,” ”,” “) (全角を半角に)
② 関数で分ける
=LEFT(A2,FIND(” “,A2)-1) → 姓
=MID(A2,FIND(” “,A2)+1,100) → 名
③ スペースがない場合
「田中太郎」のようにくっついていると、機械では分けられない。姓が1文字か2文字か3文字か、判定できないからだ。
「小鳥遊薫」は「小鳥遊/薫」だが、「小鳥/遊薫」と読めなくもない。
ここも人が見るしかない。だから、名簿を作る側としては、最初から姓と名を別の列で入力させるのが正解になる。
そもそも、分けて持つ
ここまでの話は、全部同じ結論に行き着く。
あとから分けようとするから難しい。最初から分けて持てばいい。
- 姓と名を別の列に
- 姓のふりがなと名のふりがなも別の列に
- 表示用に、必要なら連結した列を作る
=B2&” “&C2 のように、分かれているものをつなぐのは簡単だ。逆はできない。
これは住所も同じだった。都道府県、市区町村、それ以降を分けておけば、あとで県別集計ができる。つなげてしまうと、分けるのに苦労する。
データは、細かく分けて持つ。表示するときにつなぐ。 原則はこれだけだと思う。

並べ替えで、五十音順にならない
ふりがなの話に戻る。
名簿を氏名で並べ替えたら、思った順番にならない。これも、ふりがなが関係している。
Excelの並べ替えには、「ふりがなを使う」という設定がある。
並べ替えのダイアログ →「オプション」→「ふりがなを使う/ふりがなを使わない」。
- ふりがなを使う(既定) → セルに記録されたふりがなの順に並ぶ
- ふりがなを使わない → 文字コードの順に並ぶ
ふりがながない(貼り付けた)名簿で「ふりがなを使う」のまま並べ替えると、文字コード順になる。漢字の文字コードは読みと関係ないので、順番がばらばらに見える。
ふりがなの列を作って、その列で並べ替えるのが確実だと思う。表示用の氏名列ではなく、ふりがな列をキーにする。
名簿でよく詰まる、他のこと
ついでに、名簿まわりの落とし穴をまとめておく。
① 旧字体・異体字
「高」と「髙」、「崎」と「﨑」、「斉」「斎」「齊」「齋」。別の文字なので、検索でも一致でも引っかからない。
対策としては、照合用に正規化した列を作る。「髙」を「高」に置き換えた列を別に持ち、照合はそちらで行う。表示は元のまま。
② 環境依存文字
一部の文字は、システム間で正しく引き継がれないことがある。CSVで受け渡すと化ける。
③ 半角カタカナ
基幹システムから出したデータは半角カナのことが多い。ASC/JIS関数で変換できるが、濁点の扱いで崩れることがある。「ガ」が「カ」+「゛」の2文字になっている場合だ。
LEN関数で長さを数えると、想定より長い。ここで気づける。
④ ミドルネーム、外国人氏名
姓と名の2つに分ける前提が崩れる。名簿の設計として、「表示名」の列を1つ持っておくと逃げられる。
航路 — 読んでいるのではなく、覚えている
整理する。
- PHONETIC関数は、漢字を読んでいるのではない。入力時のかなを記録したものを読み出している
- だから貼り付け・CSV・関数で作った文字列には、ふりがながない
- 逆に、打ち間違えた読みは、そのまま記録される。画面では気づけない
- 確認は「ふりがなの表示」、修正は「ふりがなの編集」
- 貼り付けた名簿は、元のシステムからふりがなを出してもらうのがいちばん正しい
- 並べ替えが五十音順にならないのも、ふりがながないのが原因
- 根本の解決は、最初から姓・名・ふりがなを分けて持つこと
いちばん納得したのは、「読んでいない」という一点だった。
関数の名前がPHONETIC(音声の、発音の)なので、漢字から読みを起こしてくれる関数だと思い込んでいた。実際は、入力したときの記録を返すだけの関数だった。
名前から機能を推測すると、こういうところでずれる。Excelの関数には、名前と中身が少しずれているものがときどきある。疑ったら、空のセルで試してみる。それがいちばん早い。
ふりがなを、関数以外で取り出す
PHONETICが効かないとき、他に手がないかを整理しておく。
① 入力規則で、入力時に取る
名簿を新規に作るなら、ふりがな列を必須にする。入力する人に打ってもらう。
いちばん確実で、いちばん安い。あとから復元するより、最初から集めるほうが速い。
② Wordの機能を使う
Wordには「ルビ」の機能があり、漢字から読みを推定する。Excelのふりがなとは別の仕組みで、辞書から読みを引いている。
名簿をWordに貼って、ルビを振って、それを取り出す——という手はある。ただし人名の読みは推定が当たらないので、下書きにしかならない。
③ IMEの変換辞書を使う
VBAから日本語入力の機能を呼ぶ方法がある。漢字を渡すと、読みの候補が返る。
一般的な単語には効く。人名では外れる。「小鳥遊」を「たかなし」と返してくれるとは限らない。
④ 元の名簿に戻る
結局これがいちばん確実だと、何度も書いている。人事システム、会計システム、名刺管理。どこかに正しい読みが入っていることが多い。
氏名の照合は、ふりがなでやらない
名簿を2つ突き合わせるとき、何をキーにするか。
氏名でやると、まず合わない。
- スペースの有無(「田中太郎」と「田中 太郎」)
- 全角と半角のスペース
- 旧字体(「高橋」と「髙橋」)
- 姓が変わった(結婚、離婚)
ふりがなでやっても、合わない。
- 「たなかたろう」と「タナカタロウ」
- 半角カナ
- 読みが揺れる姓(「さかき」と「さかい」)
だから、社員番号や取引先コードで照合するのが原則になる。
どうしても名前で照合するしかないときは、正規化した列を作る。
- スペースを全部除去(SUBSTITUTE)
- 全角に統一(JIS関数)または半角に統一(ASC関数)
- 大文字小文字を揃える(UPPER/LOWER)
- 旧字体を置換(SUBSTITUTEを重ねる)
そのうえで照合し、合わなかったものだけ目で見る。全部を目で見るよりは速い。
名簿を設計するときの列
人事や総務の名簿を1から作るなら、こう分けておくと後悔しない。
| 列 | 例 |
|---|---|
| 社員番号 | 20260401 |
| 姓 | 田中 |
| 名 | 太郎 |
| 姓かな | たなか |
| 名かな | たろう |
| 姓カナ(半角) | タナカ |
| 名カナ(半角) | タロウ |
| 表示名 | 田中 太郎 |
半角カナの列を持っておくのがポイントだと思う。銀行の振込データや、古い基幹システムへの連携で、半角カナを求められることがある。そのときに変換で悩まなくて済む。
そして表示名は、数式で作る。=B2&” “&C2 のようにしておけば、姓が変わっても自動で直る。
ふりがなと、並べ替えのもう一段
本文で「ふりがなの列を作って、それで並べ替える」と書いた。もう少し補足する。
ひらがなとカタカナは、並べ替えで別扱いになる。
「あいうえお」と「アイウエオ」が混ざっていると、順番が崩れる。どちらかに統一する。
変換は PHONETIC の設定でもできるし、関数でもできる。
- ひらがな → カタカナ =PHONETIC(セル) の設定を変える、または関数で変換
- カタカナ → ひらがな 同様
そして濁点・半濁点の扱い。「か」と「が」の順番は、辞書順では「か」が先になる。これはExcelの並べ替えでも同じなので、通常は問題にならない。
問題になるのは、半角カナで濁点が分離している場合だ。「ガ」が「カ」+「゛」の2文字になっていると、長さも順番も変わる。
LEN関数で長さを数えて、想定と違えば疑う。ここでも同じ手が使える。
人名の扱いは、最後は人が決める
この記事を書きながら、結局そこに戻るなと思った。
「東」を「あずま」と読むか「ひがし」と読むか。「中島」を「なかじま」か「なかしま」か。本人に聞く以外に、正解を知る方法がない。
機械にできるのは、候補を出すことと、揺れを見つけることまでになる。
だから名簿は、最初に本人から集めるのがいちばん正確で、いちばん速い。入社時の書類にふりがなの欄があるのは、あとから作れないことを知っているからだと思う。
そして、一度集めたものは大事に持つ。システムを乗り換えるとき、ふりがなの列を落とさない。落とすと、二度と復元できない。

この記事は、まだ書きかけです
この記事は、公開してから足していく形にしています。調べたことを書いた本文がまず先にあって、あとから「聞き手と話し手の会話」「あとで思い出したこと」「読んだ人から教わった補足」が積もっていきます。
だから、同じURLでも半年後には別のものになっているはずです。もし一度読んだことがある記事なら、下の更新ログだけ見てください。増えたところが分かります。
更新ログ
- 2026-10-20 公開(本文のみ。会話パートはこれから足します)

